AIで生成した成果物で注意したい著作権の問題
2024-07-25
2025-04-28
AIの成果物は、著作権侵害が発生するのか?
著作権が発生した場合には、誰が著作権者になると思いますか?
今回は、AIで生み出した著作物に対して著作権がどのように適用されるか考えてみます。
著作権が適用されるのかを知っておく必要があると思いますので、著作権の法律について少し調べましたので紹介します。
著作物とは
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」です(著作権法2条1項)。
このように定義れています。
ポイントは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」という部分であると考えます。
AIは、思想的な感情をもって創作的に表現しているでしょうか。恐らく思想的な感情は、無いものと思います。
AIは、膨大な既存のデータを参考にして機会的に結果(創作物)をアウトプットしているだけに過ぎません。
オペレーターが、とても情緒的で魂を高揚させてAIに創作させたとしてもAIの方では、似た情報を参考にして結果を生成しています。
つまり、既存の情報を参考にしているので、逆に既存の創作物の著作権を侵害する恐れもあるということになります。
結果的に、AIを活用する際には、他者の著作権を侵害してしまうリスクに注意が必要ということを知っておかなくてはなりません。
関連法
AI生成物の著作権に関する法律の概要や、AIを安全に活用するために注意すべきポイントについて解説します。
生成系AIは著作権侵害になる可能性があります。
文化庁では、AI技術の進歩に応じて、生成系AIやAI生成物をどのように扱うかの議論が重ねられてきました。
令和5年6月19日には「AIと著作権」と題したセミナーが開催され、現行の法律におけるAIの扱いが公表されています。
※こちらの内容を参考にお話を進めていきます。
AIと著作権の関係については、次の2つの段階で考える必要があります。
開発・学習段階
著作物を学習用データとしてAI開発に利用する場合、原則として著作権者の許諾なく利用が可能です。
これは、AIが多くのデータを元に学習し、生成するという仕組みにおいて、膨大な著作物に対してその許諾を得ることが
現実的に無理であるという考えがあるからです。
生成・利用段階
AI生成物の公表や販売は、通常の著作権侵害と同様の判断基準が適用されます。
個人的に利用する目的であれば認められるが、著作権侵害の要件を満たす場合は、損害賠償請求や差止請求ができます。
また、例外として著作権法第30条の4は、特定の条件を満たす場合について、著作権者の許諾なく著作物を利用することを認める規定です。
これは、著作物の視聴等を通じて、視聴者等の知的・精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられた行為を行わなければ適用されるということです。
個人だけで楽しむ、利益を得るために販売する、著作者の利益を侵害するなどに当てはまらない場合のこととイメージしてもらえるとわかりやすいです。
この規定を理解し、AI生成物の利用において著作権侵害しないように注意が必要となります。
まとめ
AIを活用する場合の著作権に関する注意点は次の通りです。
- AIの開発・学習段階での著作物の利用は、原則として許諾なしで可能ですが、利益を不当に害する場合は認められない。
- AI生成物の公表や販売は著作権侵害の判断基準が適用され、個人的な利用は認められますが、要件を満たす場合は損害賠償請求や差止請求ができます。
- 著作権法第30条の4の規定を理解し、AI生成物の利用において著作権侵害しないよう注意が必要です。
以上の情報を踏まえて、AIを活用する際には著作権に配慮した利用方法を選ぶことが求められます。
自分の利用が著作権侵害に当たるかどうかを慎重に判断し、安全かつ合法的にAIを活用しましょう。
著作権法第30条の4の補足
同法によれば、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない」場合、例えばAI開発などのために著作物を利用することができると定められています。
思想又は感情の享受とは、知的欲求や精神的欲求を満たす行為で、写真や絵画の鑑賞や小説の読書などが該当します。
しかし、AI学習において写真などの画像データを利用する場合、それが学習モデルの生成を目的としている限り、思想又は感情の享受とはみなされません。
このため、著作権者の許諾無しに著作物を利用することができます。
ただし、学習元の著作物と本質的に似た特徴を持つAI生成物を作成する場合、元の著作物を享受することも目的に含まれるとされ、著作権者の許諾が必要となります。制作(生成)の過程では、著作権の許諾は必要無いとしてもリリースの段階で著作権の侵害が無いか確認する必要があると意識すればいいと思います。
AI生成物の著作権で注意すべき点
AI生成物の著作権で注意すべき点は以下の通りです。
- 著作権とは、思想又は感情を創作的に表現した著作物を保護し、著作者に権利を認めるものです。
- 著作物には文芸、学術、美術、音楽などの創作物が含まれ、データやアイデアは著作物として認められません。
- 著作権侵害か否かは、既存の著作物との類似性や依拠性によって判断されます。
- 類似性と依拠性は、それぞれ著作物が持つ独自の表現が似ていることや、既存の著作物に接した上で真似や複製をしたことを指します。
- 単に作風が似ているだけでは類似性は認められず、偶然の一致も依拠性がないとされます。
- AI生成物が既存の作品と類似性・依拠性が認められる場合、著作権を侵害しているとみなされます。
- 著作物をAI学習に利用する場合やAI生成物を活用する場合、著作権侵害のリスクがあります。
実務レベルでは、それぞれの生成過程と結果から裁判所での判断になります。
その様な事にならないようにAIと著作権の関係を理解し、生成系AIを適切に活用しましょう。