クルマへの生成AI導入でグーグルとクアルコムがタッグを組む。SDV開発も?

2024-10-26  2025-04-28

グーグルとクアルコムのタッグで何が生まれるか

2024年10月21日、米国ハワイで開催されたイベント「Snapdragon Summit 2024」において、Google(グーグル:米国)とQualcomm(クアルコム:米国)は、自動車のコックピットへの生成AI導入でタッグを組むと発表した。

クラウドサービス並びに、クアルコムの半導体事業子会社である米Qualcomm Technologies(クアルコム・テクノロジーズ)の製品などを組み合わせるもので、 生成AI対応のデジタルコックピットの開発フレームワークを提供する。
同イベントにはグーグルのGretchen Effgen氏(Director, Global Automotive Partnerships)氏が登壇し、両社の親密ぶりをアピールしたと報じられた。

引用:Firstpost

これは、自動車メーカーに高度なAI音声アシスタントを開発するために必要なツールを提供するための協力となるようです。
人工知能を搭載した革新的な車内システムの構築にフォーカスしたものでメーカーがドライバーとパッセンジャーに対してスマートでパーソナライズされた体験を展開することを支援します。

技術のイメージと市場背景

グーグルが手掛ける生成AI技術と車載OS、「GoogleのAndroid Automotive OS(AAOS)」に基づいて構築されたインフォテインメントプラットフォームです。
インフォテインメントとは、InformationとEntertainmentをつなげた造語で、カーナビゲーションやカーオーディオ、DVD、TVチューナーなどの機能を統合し、シームレスに切り替え運用できるシステムです。言葉は複雑ですが、ナビゲーションの画面を色々と切り替えて使っているのではないでしょうか。

出典:リヴィアン・オートモーティブ

昨今、自動車の世界では、AIがますます重要になりつつあり、他のメーカーも同様のソリューションを模索しています。
たとえば、フォルクスワーゲンはCES 2024で、顧客が音声コマンドを使用してより簡単でより良い方法で車と対話できるように、新しいモデルにChatGPTを統合すると発表しました。
AAOSの採用はゆっくりと始まりましたが、現在ではシボレー、ホンダ、ボルボ、リヴィアン・オートモーティブなどのブランドの車両で使用されており、よりスマートな車内技術に対する需要が高まっています。

開発フレームワークを通じて、両社はそれぞれ以下のような技術提供を行う。
・グーグルは生成AI技術と車載OS、クラウドサービス「Google Cloud」を提供する。
・クアルコムは車載半導体を提供する。

クアルコムは車載半導体製品群を幅広く手掛けており、自動車向け製品プラットフォーム「Snapdragon Digital Chassis」として展開している。
既にこのプラットフォームには、インフォテインメント用途、ADAS(先進運転支援システム)・自動運転用途、無線通信などコネクテッド用途、OTA(Over the Air)など クラウドサービス用途の半導体製品がある。

開発を加速させる取り組み

SDV(ソフトウエア定義車両)開発に向けたフレームワークも両社で提供する。
例えば、クアルコムの半導体製品に最適化した車載ソフトウエアの開発をGoogle Cloud上で可能にすることで開発の効率化や期間短縮につながるという。

Snapdragon Digital Chassis(スナップドラゴン・デジタル・シャシー)は、クアルコムが提供する自動車業界向けのクラウド・コネクテッド・プラットフォームである。 自動車メーカーは、このプラットフォームに含まれる複数の機能のどれか、またはすべてを採用することができます。
Snapdragon Digital Chassisは、クラウド化、自動運転、デジタルコクピット、通信などのモジュールから構成されています。
その中核となる技術は「Snapdragon Ride Platform」で、自動運転において、車外を捉えるカメラや乗客を認識する赤外線カメラなど複数のカメラと、40以上のセンサーをリアルタイムで処理することができます。
既にボルボ・カーズ、ホンダ、アルプス・アルパイン、ルノーなどが採用している。

懐かしい3G携帯電話

米国カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くクアルコム(Qualcomm)は、元々はモバイル通信技術関連企業です。
携帯電話やスマートフォン向けのモデムチップやSoCを提供するメーカーとして成長してきた半導体メーカーです。
同社が提供するスマートフォン向けSoCのSnapdragonは、スマートフォン市場でトップシェアを誇る製品で、日本で通信キャリアから販売されているAndroidスマートフォンのほとんどはSnapdragonを搭載している。
懐かしい3G携帯電話の通信技術「CDMA」や、モバイル向けチップセット「Snapdragon™」などで知られています。

考察

これまで様々な自動車メーカーが対話型の操作をリリースしてきたが、私個人的には、「メスセデスのMBUX」で「ハイ・メスセデス」って話しかけることで、利便性から快適性まで数々のコンテンツやサービスにアクセスが可能でした。それは、セレンス(Cerence.Inc)社の製品だったように記憶している。

どのメーカーのシステムもそれぞれに良さが有り課題もある。
自動車とAIの親和性が極めて高く自動運転から快適な移動空間創造まで幅広い課題が山積である。
この自動車業界を見て取れば、AI(人工知能)業界の進歩が垣間見えるのではないかと感じる。今後も自動車メーカーを取り巻くAI開発事業者を注視していきたい。

出典:Firstpost.“Qualcomm, Google to collaborate & develop AI voice systems for carmakers”.https://www.firstpost.com/tech/,(引用日2024-11-01)