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2025-04-13
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近年、多くの工場で搬送工程の自動化ニーズが高まっています。その背景には深刻な労働者不足があります。特に搬送作業は身体的負担が大きく、作業者は1日に2万歩から3万歩も歩くことがあり、足腰に大きな負担がかかっています。
さらに、作業内容は単調で繰り返しが多いため、モチベーションの維持も難しく、重い荷物を運ぶ際の腰痛や転倒・衝突事故のリスクも高いという課題があります。
こうした問題の解決策として注目されているのが、AMR(自律搬送ロボット)です。AMRの導入により、以下のようなメリットが得られます。
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AMRの詳しい情報については、下記のリンクをご覧ください。 それでは、AMR導入の具体事例を通じてイメージを深め、メリットを確認していきましょう。
小林超硬研磨は、超硬合金の研磨加工を専門とし、超硬丸棒や超硬工具の精密加工に強みを持つ企業です。丸棒は基板用ドリルや切削工具に、工具は金型成形や部品加工に使用され、同社の研磨技術は幅広い産業のものづくりを支えています。今回は、作業者の負担軽減を目的に、AMR(自律搬送ロボット)の導入を決定しました。
超硬合金は比重が大きく、1箱あたり約20kgの重量物を作業者が台車で搬送していました。この作業は時間や労力がかかるうえ、安全面でもリスクがありました。さらに、女性作業者の増加により、性差による作業制限も無視できない課題となっていました。
また、生産ラインの自動化を進める中で、通路幅1.2mという狭い環境に収まり、かつ120kgまで積載可能なAMRが必要でしたが、市販の製品では条件を満たすものがありませんでした。
そこで、カスタム仕様のAMRを導入し、工場の通路幅に合わせたサイズ調整を実施。これにより、20kgの箱を最大5箱(合計約100kg)まとめて自動搬送できるようになりました。搬送回数は約50%削減され、作業者の移動距離も1日あたり約5km短縮。結果として、搬送作業にかかる時間を約70%減らすことに成功し、作業効率と安全性が大幅に向上しました。
さらに、補助金を活用したことで初期コストの負担も軽減。運用開始後も、遠隔呼び出し機能の追加や工場レイアウト変更など、現場の声を反映した改善を継続的に行い、安定した稼働を実現しています。
出典:ASPINA公式サイト.金属加工メーカー 小林超硬研磨様.https://aspina-robotics.com/,(2025.08.12).
アスクル・LOHACOの物流を担うアスクルロジスト株式会社は、西日本のASKUL Value CenterにAMRを12台導入しました。この導入は、メーカーであるネスレからの要望を受けて、繁忙期にも対応できる効率的なシステムの構築を目指したものです。
アスクルは企業向け通販サービスとして、オフィス用品を中心に幅広い商品を迅速に届けており、運送業や倉庫業など関連事業も展開しています。
コロナ禍により、フィリピンなど海外のロックダウンで一時的に出荷が停止する事態が発生し、通販やBtoBの物流の脆弱性が明らかになりました。こうした経験から、省力化と効率化を目指した自動化システムの導入が急務となり、2021年から2022年にかけてオートメーション化を推進しました。
ネスレ日本の西日本物流センターでは、大型で重い台車を人力で押しながら長時間にわたってピッキング作業を行っており、作業者の負担が大きいという課題がありました。
また、季節やキャンペーンによって出荷量が急増するため、その都度多くの人員を確保する必要があり、人手不足も深刻化していました。これまで検討されてきたコンベアやAGVは、コスト面や運用の柔軟性に課題があり、現場の問題解決には至っていませんでした。
アスクルロジストはAMRを導入することで、従来の半分の人員で約2倍の生産性を実現しました。12台のAMRが稼働し、ピッキング作業の負担を大幅に軽減。繁忙期でも10人必要なところが、5人のスタッフで対応可能な安定した出荷体制を築いています。さらに、システムトラブル時にはすぐに手作業へ切り替えられるため、柔軟かつ安定した物流オペレーションを支えています。
出典:ラピュタロボティクス株式会社公式サイト.【前編】ネスレ日本株式会社 × ASKUL LOGIST株式会社様.https://www.rapyuta-robotics.com/,(2025.08.12).
株式会社MASSホールディングス様は、美容室向け化粧品や美容機器を扱う物流拠点「East Logistics」にて、1日約4,000件・8万点の商品を出荷しています。今回、レイアウト変更が容易で柔軟な運用が可能な点に魅力を感じ、AMRを導入しました。
高額商品や特殊商品は専用ピッキングエリアで管理されており、 限られた作業者がピッキングと長距離搬送を兼任することで大きな負担となっていました。 また、従来使用していたAMRはアップデートが少なく、設定変更時にメーカー対応が必要で柔軟性に欠ける点も課題でした。
導入したAMRは現場で簡単にマッピング変更ができ、大規模なレイアウト変更が不要です。 搬送作業をロボットに任せることで作業者はピッキングに専念でき、 業務効率の向上と負担軽減を実現しました。 さらに、直感的なタブレット操作や音声アナウンスにより状況把握が容易で、作業者からは「操作が覚えやすく」「動きが明確で安心できる」と高く評価されています。
出典:住友重機械工業株式会社公式サイト.株式会社MASSホールディングス様(旧社名:株式会社きくや美粧堂様).https://cyclo.shi.co.jp/,(2025.08.12).
AMRは単に導入して終わりではなく、実際の運用の中で製造現場のスタッフからの声や要望を取り入れながら、柔軟に改善を重ねていくことが重要です。現場での作業の流れやレイアウトの変更に合わせてマッピングを調整し、新たな機能を追加するなど、現場に最適化された形で使いやすく進化させていきます。
運用の工夫により、AMRは単なる搬送機器ではなく、現場の生産性向上や安全性の確保に欠かせないパートナーとなります。
現場の状況に応じて柔軟に対応し続けることで、長期的に安定した稼働を実現し、現場の負担軽減や効率化に大きく貢献するでしょう。