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2025-04-13目次
現在、食品業界は深刻な人手不足に直面しています。令和6年の有効求人倍率を見ると、全産業の平均が 1.31倍 であるのに対し、 食品業界は 2.89倍。これは 「求職者1人に対して求人が約3件ある」状態を示しており、人材確保が極めて困難であることを意味します。
加えて、食品業界は他産業と比較して 生産効率が低いという課題も抱えています。
この状況を解決する有効な手段の一つが AI外観検査です。
出典:農林水産省公式サイト.省力化投資促進プラン ―製造業(食品) ― (案).(令和7年5月14日).https://www.cas.go.jp/,(引用日2025-08-18)
従来の外観検査は、ルールベースで行われてきました。しかし食品は個体差が大きく、明確な基準を設けることが難しいため、検査基準の曖昧さや見逃しが発生していました。 AI外観検査であれば、柔軟に基準を学習し、 より高精度かつ効率的な検査が可能となります。
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しかしながら、食品を検査できる企業は限られています。今回は、食品におけるAI外観検査を提供している企業をご紹介いたします。
株式会社YE DIGITALは、ロッテをはじめとする大手お菓子メーカーへの導入実績を持つ、実績豊富なAI外観検査提供企業です。サンプル画像の生成や、画像の解像度を高める独自の前処理技術により、正常な画像のみを使用して高精度なAI外観検査システムを構築できます。
個数カウントや食品の外観検査など、幅広い検査項目に対応しており、ロボットや排出機構との連携も可能なため、検査から選別まで一連の自動化を実現できます。
さらに、YE DIGITALは独自開発のAIを搭しており、X線画像を活用した骨などの異物検出にも対応しています。凹凸のあるワークや、外観が不均一な原料の中に紛れている小さな異物も検出可能です。また、包装のピンホールやキズ、焼きムラなどの検出にも対応しており、加工食品、肉・魚、原料など多様な製品に対して、原料処理から出荷工程まで幅広く活用できます。
AI外観検査では、従来のルールベースとAI技術を組み合わせたハイブリッド型の運用も可能です。ルールベースは、明確な基準が定められていれば非常に高い検査精度を実現できるという強みがあります。主に寸法検査など向いています。
一方、AIは人の勘や経験に頼るような曖昧な検査において優れた性能を発揮します。たとえば、ルールベースでは見逃しやすい微細なキズや、形状が一定でない食品のような対象でも、AIは柔軟に対応できます。
これらの手法を組み合わせることで、それぞれの長所を活かしながら、検査の精度を最大限に高めることが可能になります。
さらに、複数のアルゴリズムを組み合わせており、多くの事例もあります。実際にアオハタジャムでは本技術を導入することで、検査工程を50%削減することに成功しています。
株式会社ロビットは、AIとロボット技術を活用し、食材などに含まれる食べられない部分や品質の悪い部分を自動で切断・除去するAIロボットや、食品を検査して不良品を除去するまでの工程をこなすAI外観検査などを提供しています。これはライン上を流れる検査対象を落下する瞬間にAIでリアルタイムに検査を行い、色の識別やカビ、異物(石や虫)、不良品の選別を高精度で実施するAI外観検査自動化システムを開発しています。
小さな検査対象に対しても高い精度で対応でき、選別まで自動で行えるのが大きな特長です。多様な不良品に対応可能であり、これ一台でさまざまな課題を解決できる点が、ロビットの大きな強みとなっています。
食品に焦点を当てると、TDSEのAI外観検査は「異物混入」「焼きムラ」「欠け」「包装不良」などを検出でき、良品データのみで学習するため導入がスムーズです。
ヒートマップで異常箇所を視覚的に確認でき、基準値を柔軟に調整可能です。また、ライセンス制により必要な処理能力に応じて利用でき、クラウドで学習したモデルをエッジに展開できるので、ライン上でリアルタイム検査が可能です。実際に食品工場では検査工程を大幅に削減し、省人化と品質安定に貢献しています.
本システムはライセンス形式で提供しており、処理負荷に応じて料金が決まる仕組みになっています。つまり、求める精度や処理能力、利用頻度に応じて柔軟な課金が可能です。ライセンス制のメリットとしては、常に最新のAIモデルを利用できる点が挙げられます。また、カメラなどのハードウェアはライセンスに含まれていないため、ユーザー企業が自社のニーズに合わせて選定できます。
実際に、食品業界で導入されたユースケースでは、検査工程を最大80%削減することに成功しています。
ユアサ商事が提供するAI外観検査システム「F[ai]ND OUT EXW」は、ラインの上下に設置されたカメラによって、流れてくる対象物の表裏を同時に検査できるのが特長です。
食品にも対応しており、焼きムラや色ムラ、欠けといった不良の検出はもちろん、脂身など個体差のある部位に対しても高い異物検出能力を備えています。
本システムでは、収集しやすい良品データをベースにAIモデルを構築できます。ヒートマップを活用して異常箇所を赤く可視化し、異常とみなされた部分の数値を調整することで、AIが段階的に良品を学習していきます。
たとえば、ヒートマップ上で赤く表示された部分が実際には良品であった場合、その部分の数値を変更・再学習させることで、検査精度を継続的に向上させることが可能です。
さらに、クライアント自身が検査対象を追加できる仕組みがあり、多品種少量生産や頻繁な製品変更が発生するラインでも、追加のプログラミングなしで柔軟に対応できます。
ロボットとの連携にも対応しており、検査対象の配置から外観検査、判定・排出まで一貫した自動化が可能です。
アンリツ株式会社が提供するAI判定機能を搭載したX線検査機は、X線による「透視」により、製品内部の異物や形状不良を高精度で検出することができます。
X線でしか確認できない、小骨やプラスチック片、金属片などの内部異物も検出可能であり、特に食品業界に適した検査機器といえます。
また、本システムは日本惣菜協会との共同開発にも携わっており、現場ニーズに即した技術開発が進められています。
食品業界におけるAI外観検査の導入は、企業ごとに求める水準や運用方法が大きく異なります。
例えば、「どの程度の精度で検査したいか」や「どのくらいの期間で導入したいか」といった点は、製品の特性や企業の体制によって変わります。さらに、AIが不良品を検出した後に「誰が・どのように取り除くか」という工程設計も重要です。
AI外観検査は単なる人員削減の仕組みではなく、人手不足の解消、品質保証、生産効率の向上、労働環境改善 を同時に実現する包括的なソリューションとして捉えることが大切です。