GX 「グリーントランスフォーメーション」においてのAI活用術

2024-11-12  2024-11-12

GX 「グリーントランスフォーメーション」とは?

GXは、「Green Transformation」の略で、日本語では「グリーントランスフォーメーション」と訳されます。

GX 「グリーントランスフォーメーション」とは何かというと、地球温暖化の原因である 温室効果ガスの排出を削減し、持続可能な社会を目指す取り組みです。

GXの目的は主に三つあります。

  • 化石燃料から 再生可能エネルギーへの転換を進めることで、 脱炭素社会を実現
  • 経済成長 環境保護の両立 を図る
  • パリ協定に基づく地球温暖化対策の国際的な目標を達成し、 国際社会において持続可能な未来の実現 に貢献
の三つがあります。

GXへの取り組みは、今や企業にとって重要な 社会的責任 となっています。

地球温暖化や気候変動などから地球環境を守るためだけでなく、企業活動に欠かせないエネルギーや 資源を枯渇させない ことは企業の長期的な存続にもつながります。

加えて、環境問題に真摯に取り組む企業としての ブランドイメージ向上 や、GXを通じて 新たなアイデアやビジネスモデルが生まれる可能性 もあります。

例えば、海外ではすでに本格的に導入が始まっている 「炭素税」 が挙げられます。環境省は今後導入する可能性を示唆しており、これは企業にとっては大きな負担になり得ます。しかし同時に新たなビジネスチャンスにもなりうるとも言われており、排出量取引制度が導入された場合は、排出権を購入する企業と販売する企業が出現し、そして排出量削減に成功した企業は、余剰の排出権を販売することで収益を得ることができるのでしょう。

排出権取引市場とは
※排出権取引市場とは、温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出量を削減するための仕組みの一つです。政府が企業に排出できる温室効果ガスの量(排出枠)を割り当て、その排出枠を企業間で売買できるようにした市場のことです。

二酸化炭素の排出枠を超えた場合は、他の企業から排出枠を購入しなければなりません。反対に、二酸化炭素の排出を減らすことに成功すれば、排出枠を得ることが可能です。
こうした理由から、企業は先手をうち、早急にGXに取り組む必要があります。 そして、GXに取り組むにあたって AIを活用する ことで、効率的にGXに取り組むことができます。

それでは、GXにおいてのAIの活用方法について見ていきましょう。

GXにおいてのAI活用方法

AIは、このGXの取り組みにおいて非常に重要な役割を果たします。

エネルギー需要予測においてのAI活用

例えば、エネルギー需要予測においては、過去の電力消費データや気象データ、経済指標などを分析することで、 将来のエネルギー需要を予測します。

再生可能エネルギーは天候に左右されやすいため、発電量を予測しつつ電力需要のバランスを取ることで、過剰な発電を防ぎ、安定的な電力供給を確保できます。さらに、建物ごとのエネルギー消費を最適化することで省エネに貢献し、都市全体の電力消費を効率化することも可能です。

物流においてのAI活用

物流分野においても、AIは CO2削減 に役立ちます。AIを活用して 物流ルートや在庫管理を最適化 することで、輸送の効率化が図られ、CO2排出量を抑えることができます。 特に複数企業が共同で輸送を行う「共同運送」では、各企業の配送情報をAIが分析し、車両の空きスペースを最大限に活用した最適な輸送計画を立てることができます。荷物のピックアップ地点や配送先、車両の容量などを考慮し、効率的なルートを自動で作成することで、コスト削減とCO2削減を同時に実現します。

産業廃棄物においてのAI活用

また、産業廃棄物の分野では、AIを活用して廃棄物の種類を自動的に分類し、リサイクル率向上しています。例えば、AIを搭載したロボットで廃プラスチックを分別し リサイクルすることで、電力の節約や焼却に伴う CO2排出の削減 が可能となります。

AIを使うことで、貴重と言われるレアメタルなどのより多様な資源を 効率的に分類する ことが可能になり、廃棄物の再利用が促進されています。その結果、環境保護につながっています。

環境保護においてのAI活用

ドローンAI

さらに、ドローンAIは 農薬の適正使用 環境モニタリングにおいても活用が期待されています。

ドローンにAIを搭載することで、農作物に必要な農薬を必要な量だけピンポイントで散布できるようになり、環境への影響を最小限に抑えた害虫駆除が可能となります。

また、 森林 水質のモニタリング もドローンAIによって行えます。

例えば、森林の健康状態を監視し、火災や病害虫の早期発見を行うことができ、環境保護への貢献が期待されます。大気中の有害物質濃度をリアルタイムで測定したり、水質センサーを用いて河川や湖の水質データを収集することで、より細やかな環境管理が可能になります。

ドローンAIは、人間が容易に立ち入れない危険な場所でも調査を行えるため、 安全性の面でも非常に有用です。

それでは具体的にGXにおいてのAIの具体的活用事例を見ていきましょう。

AIでの廃棄物処理でCO2削減!GXにおいてAIの可能性

導入前の課題

出典:ウエノテックス株式会社
従来の廃棄物選別作業は、人手による作業が中心でした。

しかしながら、 選別精度が低い ため、燃やせないごみが多く発生し、最終的に埋め立て処分される量が増加していて、埋め立て処分場でのメタンガス発生は、強力な温室効果ガスであり、地球温暖化に大きな影響を与えていました。

また、膨大な量の廃棄物を処理するため、大量のエネルギーが必要となり、CO2排出量が増加していました。

導入後効果

高速かつ高精度の選別を実現することで、エネルギー消費量を大幅に削減しました。 約1トン の廃プラスチックを処理する場合の消費電力は約50kWhと、従来の処理方法に比べて大幅に削減されました。

また、 高純度なリサイクル材の回収が可能 になり、新たな製品の原料として再利用される量が増加しました。

これにより、新たな製品の製造に必要な資源の採掘や製造過程で発生するCO2排出量を削減することができます。そして、選別精度が向上したことで、 燃やせないごみの量が減少 し、埋め立て処分される量も減少しました。結果として、メタンガス発生による 温室効果ガスの排出量を削減する ことができます。

出典:環境省公式サイト.産業廃棄物処理におけるAI.Iot等の導入事例集.“著作権法”.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048,(引用日2024.11.24)

デジタルグリッドが変える電力市場!AIが実現するCO2削減と加速するGX

導入前の課題

電気は一般的に送電線を通じて家庭や企業に供給されており、この送電線は東京電力や関西電力などの大手電力会社が保有しています。中小規模の電力会社や小売業者は、この送配電設備を借りて電力を提供しています。電力を送る際には、30分前に予約をし、提供する電力の量について事前に計画を提出しなければなりませんでした。

もし、供給予定の電力と事前に提出した計画との間にズレが生じた場合、 追加料金(インバランス料金)が発生 します。これは、特に中小規模の発電・小売業者にとって、 予測が難しく 供給と需要のバランスを取る作業 が大きな負担となっていました。

この供給と需要のバランスは、電力会社にとってかなり重要な作業で全体の電力の供給と需要のバランスがズレると、大規模停電に繋がることもあります。

さらに、太陽光発電による電力は天候や時間帯に大きく影響され、人間による予測が困難です。通常、日中は太陽光で多くの電力が発電されるため、安価で電力を購入できるはずですが、うまく 購入希望者に供給されない 現実があります。このため、インバランス料金を予測することや再生可能エネルギーをうまく活用できないことが原因となり、 電気料金が高くなる傾向 がありました。

また、企業にとっては脱炭素税や企業の社会的責任(CSR)の観点から、カーボンニュートラルの達成が求められるようになっています。再生可能エネルギーの活用が推奨されていますが、その電力の出どころを追跡するのが難しく、どのようなエネルギー源で発電された電気であるかの詳細が把握できないため、再生可能エネルギーを活用したくても難しい状況です。このような状況が続く中、企業は社会的責任を果たすための活動として、 脱炭素に貢献すること が求められ、同時に電力コストの高騰にも直面しているのが現状です。

導入後の効果

出典:環境省

デジタルグリッドは、AI技術を活用して、電力を使用する消費者が太陽光パネルなどで発電している発電者から 直接電力を購入するための電力取引プラットフォーム を提供しています。これで、従来の仲介業者(電力会社)や電力予測を行う専門家を介さず、消費者と発電者を直接結びつけます。

この仕組みにより、需給バランスの調整が自動化され、電力予測やインバランス料金などの 管理にかかるコストを削減 しました。

AIは過去のデータを基に適切な予測を立てることができ、電力の供給や消費計画がより簡便になり、再生可能エネルギーを導入したい企業にとっても、利用しやすい環境が整いました。

さらに、利用者は再エネ利用率を指定して電力を購入できるようになり、企業は 自社のニーズに合わせた 形での電力調達が可能になりました。この結果、 コストの抑制 にも寄与しています。再エネの利用がより身近なものとなり、企業は社会的責任を果たし、脱炭素化に貢献できるようになりました。

茨城県土浦市の組立・加工工場では、DGPのサービスを活用した結果、年間の電力コストを 25%削減 することができました。特に電力を多く使用する工場や高層ビルなどへの導入が期待されています。

出典:KPMG公式サイト.AIとリアルタイムデータによる脱炭素社会の次の一手―「次世代ビジネスを牽引するテクノロジー最前線」.“著作権法”.https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048,(引用日2024.11.2)

PR TIMES.電気代をサクッと下げられる!】簡単な契約切替えだけで電力料金削減が可能なサービス登場 ~AIを活用した「デジタルグリッドプラットフォーム」〜”.“著作権法”.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000054540.html,(引用日2024.11.2)


いかがでしたでしょうか。改めて、GXにおけるAI活用のメリットについておさらいしていきましょう。

GXにおけるAI活用のメリット

GX(グリーントランスフォーメーション)の実現には、AI(人工知能)が不可欠な役割を果たします。AIの活用は、GXの目標である脱炭素化、経済成長、そして国際的な目標達成に大きく貢献します。

AIは、複雑な環境システムをモデル化し、将来の気候変動やエネルギー需要を予測することで、 適切な対策を事前に講じる ことを可能にします。また、膨大なデータを分析し、最適な解を導き出すことで、 資源の効率的な利用 を実現します。このようにAIの導入によって、エネルギー効率を最大化し、炭素排出の削減を目指すことができます。

さらに、製品やサービスのライフサイクル全体における温室効果ガスの排出量を正確に算定し、低炭素化に向けた取り組みを支援する役割を果たします。温室効果ガスは目に見えにくいため、その 排出量を正確に把握する ことが難しいのが現実ですが、AIの分析力によってこれが可能となります。加えて、AIは大気、水質、土壌などの環境データを分析し、環境問題の早期発見や対策に役立つ情報を提供します。

AIを活用することで、環境負荷の少ない製品やサービスを開発し、 新たなビジネスモデル を生み出すことも可能です。例えば、リサイクル可能な新素材の開発や、炭素税が導入された場合には、二酸化炭素を削減することで排出枠を売る新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。企業は環境負荷を低減しつつ、利益を生み出すことができます。

そして、AIの導入は コスト削減 にも貢献します。例えば、大規模なビルや工場では莫大な電気代がかかるため、省エネルギー対策や電力コストの最適化が重要です。AIを使ったエネルギー効率化や、共同運送、配送ルートの最適化によって、物流コストの削減も実現可能です。この結果、企業は競争力を維持しながら、コスト面での優位性を確保できます。

GXにおけるAI活用のデメリット

一方で、GXにおけるAI活用にはいくつかのデメリットも存在します。

まず、AIの学習には大量の高品質なデータが必要であり、そのデータを収集し整備するためには コスト 時間 がかかります。また、AIによる予測が必ずしも完璧でない場合もあり、 過去に起こったことのない事態 予測できない出来事 に対しては、十分な対応ができない可能性もあります。

また、AIの判断理由を明確に説明することが難しく、AIが 「ブラックボックス化」 してしまうこともあります。このため、AIが下した決定に対する説明責任を果たすことが困難になる可能性があります。

AIシステムはサイバー攻撃の対象にもなりやすく、 情報漏えい システムの誤動作 が発生するリスクがあります。AIの導入によって企業の運営が効率化される一方で、サイバーセキュリティリスクの管理も重要な課題となります。

まとめ

GX 「グリーントランスフォーメーション」においてのAIの活用は、企業の社会的貢献を果たすだけでなく、電力の削減や産業廃棄物の有効活用に結果的に繋がっていて、企業にとってもメリットがあることがおわかりいただけたでしょうか。目の前のコスト削減に目を向けるだけじゃなく、長期的な目線で 早めにGX 「グリーントランスフォーメーション」に向けてシフト していくことで、新たなプラットフォームなどが生まれることもあり、企業としての価値も高めることもできます。GXは、私たちが住む地球を守るための取り組みであり、同時に、より良い未来を築くためのチャンスでもあります。AIという強力なツールを駆使して、持続可能な社会の実現に向けて、共に歩んでいきましょう。