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2025-04-13目次
近年、AI産業用ロボットの普及が急速に進み、工場などの現場への導入が加速しています。
このAI産業用ロボットとは、人工知能(AI)を搭載した産業用ロボットのことです。
Fortune Business Insightsによると、2024年の世界におけるAIロボット市場は52億3,000万ドルと報告されています。
この市場は今後も急成長を遂げ、2025年には61億9,000万ドル、さらに2032年には3,222億6,000万ドルに達すると予測されています。
これは、年平均成長率(CAGR)26.6%という非常に高いスピードでの成長を意味しており、AI産業用ロボットの導入が今後さらに加速することを示しています。
このように注目を集めている背景には、従来の産業用ロボットとAI搭載ロボットの根本的な違いがあり、「教えられていないことでもできる」という点で大きく違います。
ロボット自身が、目的に対して必要な動作を考えて、最適な動きを実行・調整することができるのです。
それでは、従来のロボットとAI産業用ロボットには、どのような違いがあるのでしょうか。
ここからは、AI産業用ロボットの特徴と、従来の産業用ロボットとの違いについて詳しく見ていきましょう。
出典:Fortune Business Insights公式サイト.人工知能ロボット市場規模、シェア&業界分析、コンポーネント(ハードウェアとソフトウェア)、テクノロジー(機械学習、自然言語処理、コンピュータービジョン、およびコンテキスト認識)、アプリケーション(産業ロボットとサービスロボット)、エンドユーザー(製造、輸送&ロジスティクス、ヘルスケア、Retail&E-Commerce、Military&Defense、Automotive、およびその他 Source: https://www.fortunebusinessinsights.com/jp.https://www.fortunebusinessinsights.com/jp,(引用日2025-07-24)
たとえば人間は、物を掴むときに「どうすれば落とさずに持てるか」「腕や指をどう動かせばうまく取れるか」といった判断を、無意識のうちに瞬時に行い、自然に体を動かしています。
しかし、これまでの産業用ロボットにはこうした判断力がなく、物の形や位置が少しでも変わるたびに、その都度プログラムを修正する必要がありました。そのため、柔軟な対応は非常に困難でした。
言い換えると、従来のロボットはあらかじめプログラムされた動作を繰り返すことはできても、教えられていない状況には対応できないという課題があったのです。
近年では、産業用ロボットにAI(人工知能)という“頭脳”を搭載することで、こうした課題の克服が進んでいます。
AI産業用ロボットは、事前に細かく教えられなくても、自ら状況を判断し、最適な動作を選んで実行することが可能になっています。
具体例:バラバラに積まれた部品を扱う作業
しかし、AI搭載ロボットは、以下のようなステップで柔軟に対応できます。
これまで、ロボットには難しいとされていたピッキング作業も高い精度で自動化することが可能になっています。
それでは次に、AI産業用ロボットが実際にどのように活用されているのか、ほかの具体的な活用方法を見ていきましょう。
「デパレタイズ」とは、パレットなどに積まれた荷物を一つずつ取り下ろす作業を指し、
「パレタイズ」は、荷物をきれいに積み上げる作業のことをいいます。
これらの作業は、倉庫や物流センター、出荷工程などで日常的に行われており、とくに重量物や大型の段ボールを扱う場合には、作業者にとって大きな身体的負担となっています。
そこで活躍するのがAI搭載の産業用ロボットです。
AIが荷物のサイズや形状、積まれ方をカメラやセンサーで読み取り、最も安定した積み方や取り下ろし順序を自動で計算。荷崩れを防ぎながら、効率的かつ丁寧に作業を行うことが可能です。
従来、組み立て作業――特にネジ締めや電子部品の挿入といった精密な工程には、熟練作業者の繊細な技術が必要とされてきました。しかし近年では、AIを搭載した産業ロボットが、これら非常に高い技術を必要とされる作業の代替を可能にしつつあり、導入が始まりつつあります。
製造現場では、部品の組み付け位置の調整や力加減など、非常に繊細で正確な操作が求められます。
こうした工程では、力の加減を絶妙に調整する必要があります。AIロボットはセンサーや機械学習を活用し、この“力加減”を瞬時に取得・調整できるようになってきています。
食品分野は、これまで自動化が特に遅れてきた領域のひとつとされています。
その主な理由は、魚や野菜、果物など、形状や大きさ、硬さなどの個体差が大きく、持ち方や力加減が毎回異なるため、従来のロボットでは対応が困難だったためです。
しかし近年では、AIを活用したロボットが、人間のように動作を柔軟に変えたり、力加減を自動で調整したりできるようになってきました。
この結果、これまで人の手に頼らざるを得なかった以下のような工程も、自動化が期待できるようになっています。
このように、AIによって“人の手感覚”に近い作業が再現できるようになったことで、食品分野にもロボット導入の可能性が大きく広がっています。
これは上記で紹介した「AI産業用ロボット」そのものではありませんが、AIによる外観検査システムと産業用ロボットを組み合わせることで、より高度で柔軟な検査が可能になります。
近年、AIを活用した外観検査においては、単純な表裏のチェックだけでなく、立体的な製品や複雑な部品の検査ニーズが高まっています。こうしたニーズに対応するために、産業用ロボットの導入が進んでいます。
ロボットを使用することで、アームの位置や角度を細かく調整でき、立体形状の製品の表面をなぞるように検査することが可能です。
また、鏡やガラスなど、見る角度によって反射や見え方が変化する製品に対しても、角度を変えて多方向からの検査を行うことができます。以下の製品に対して検査を行えます。
AI産業用ロボットを活用することで、製造現場ではさまざまなメリットが得られます。まず、従来のロボットは細かくプログラムを組む必要がありましたが、AIを搭載したロボットは、作業内容を自分で学び、適切な動きを自動で判断して実行できます。そのため、複雑な動きを教え込まなくても、ロボットが自ら考えて作業できるようになります。
また、これまで人間にしかできないとされていた作業も、AIの力で自動化やスピードアップが可能になっています。たとえば、形や置き方がバラバラな部品や食品でも、ロボットが自動で認識し、正確につかんで作業できます。
他にも、AIロボットは人のように疲れることがないため、休むことなく24時間連続で正確な作業を続けることができます。加えて、非常に細かい作業や高い精度が必要な工程もこなせるため、熟練した職人の技術が求められる仕事にも対応できます。
さらに、製品ごとに仕様が異なるような「多品種少量生産」にも柔軟に対応できます。AIが状況を判断して作業を切り替えるため、変化の多い生産現場にも向いています。
そして、AIの技術を使えば、荷物を運びながらなど同時に品質チェック・複数の作業も同時に行えます。たとえば、いちごを詰める作業では、ロボットがいちごの傷や腐敗を見分けながら、パッケージに詰めることができます。
このように、AI産業用ロボットは、これまで難しかった作業もこなし、生産効率の向上や品質の安定に大きく貢献します。
AI産業用ロボットには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや課題も存在します。
まず一つ目に挙げられるのが導入コストが高いことです。AI搭載ロボットは、カメラやセンサー、AIソフトウェア、専用のインフラなどが必要になるため、導入コストが高くなりがちです。中小企業にとっては、この初期投資が大きなハードルとなる場合もあります。さらに、導入後も定期的なメンテナンスやソフトウェアのアップデートなど、継続的なコストがかかることも課題です。
そして二つ目が、ティーチングや設定の難しさが挙げられます。AIロボットは柔軟な動きが可能ですが、そのぶん初期の設定やティーチングが複雑になるケースがあります。
とはいえ、これらの課題に対しては企業側でも工夫が進んでおり、たとえば、タブレット端末で作業させたい箇所を選ぶだけでAIが動きを計算するシステムや、人の動作を模倣して学習させる「人間の動作のまね」方式などが登場しています。最近では、仮想空間で動作を練習・学習する「フィジカルAI」という技術も注目されており、より簡単に運用できる仕組みが整いつつあります。
三つ目が、学習に時間がかかる場合がある点です。AIは、ある程度の学習データや経験を積まなければ精度が上がらないため、導入初期には試行錯誤の期間が必要です。特に、個体差の大きい対象物や変化の多い環境では、学習に時間がかかることがあります。
そして最後は現場ごとの対応力には限界もあることです。
AIロボットは高い柔軟性を持っていますが、すべての現場や作業に対応できるわけではありません。たとえば、突発的な判断が求められる場面や、環境の変化が激しい作業現場などでは、まだ人間の判断力を完全に代替することは難しいのが実情です。
AI産業用ロボットは、これまで人の手に頼っていた作業を高い精度で代替し、生産性や品質の向上に大きく貢献します。とくに、これまで自動化が難しいとされてきた食品分野での活用が進むなど、導入の幅が急速に広がっています。
一方で、「高コスト」「設定や学習の手間」「適応の限界」といった課題もあり、導入にあたっては十分な検討と計画が必要です。
とはいえ、技術は日々進化しており、今後はより使いやすく、より賢いAIロボットが登場することが期待されています。現在はまさに導入の「移行期」と言える段階であり、AI産業用ロボットは、スマートファクトリー実現のカギを握る存在となっていくでしょう。